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大石研究室で学ばれる方へ

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2002年度修了 山岸則之

 

私が2年間の論文執筆を通じて、特に重要だと感じた5つのポイントについてご紹介いたします。
少しでもご参考になれば幸甚です。

1. 論文執筆の意義

論文執筆の意義を私なりに考えると、研究分野に関する自分の「分析視角を養う」ことにあると思います。
例えば、ある現象の本質を見極めるために必要な自分の「世界観」または「窓」を作り上げるようなイメージです。
この「世界観」または「窓」が無いまま、その現象を見ても表面的なものしか見えません。
M1当初のゼミで議論がおぼつかないのは
ゼミ生それぞれに確固たる判断基準となる自分の世界観が確立されていないためです。

講義やケースの利点も多くあるとは思いますが、時間的制約からどうしても現象面の理解程度が限界だと思います。
したがって、これらをこなすことからは、特定の現象に関する知識を身につけるという効果はあるかも知れませんが、
理論を背景とした自分なりの分析力を養うということは難しいと思います。
仮に自分の意見を反映したものであったとしても、それは「たぶん、こういうことだろう」という想定や思い込みを
判断基準としているわけで、いろいろ突っ込まれると理論的背景がないために脆く崩れることになります。

これは講義やケースの意味が無いということを言っているのではなく、繰り返しになりますが、
時間的制約からくる限界であり、仕方がないことです。
私は講義やケースなどはあくまで自分の視野を広げる場であり、
研究テーマを決める上での「きっかけ」を大学院側が提供している場であると認識しています。
したがって、本当に実力をつけるためには論文執筆を通して、自分の「分析視角」を養い、
確固たる判断基準を自分自身で作り上げるしかないのです。

2. 文献サーベイについて

(1) 文献サーベイの意義

いざ論文を書こうと思っても、思い立った時点での問題意識はまだ「思い込み」や「想定」
である場合が多いと思います。
私は、文献サーベイとは、このぼやけている問題意識をはっきりさせるための作業だと考えています。

よく我々は「読みながら書く」ということをしがちですが、これだと文献を読んでいるうちに問題意識がフラフラしてきます。
このやり方では問題意識が変化しながらつなぎ合わされた論文しかできません。
したがって、このような論文は、必然的に先生から「一貫性が無い」と一刀両断される結果となります。

このようにならないためには、文献を一通り整理し、自分の問題意識をはっきりさせてから書くことです。
したがって、この部分に最も多くの時間を割き、計画的に進める必要があります。
大石先生が「文献サーベイで7、8割方決まる」とおっしゃっていたのは、こういう意味もあるのかと2年目の夏頃気づきました。
遅いっ!(>_<)

(2) サーベイ方法

私がよく使用したものを列記します。明治の図書館は他大学と比較しても、かなり便利だと思いますので最大限活用してください。

- 図書館OPAC
- 図書館リファレンスカウンター・・・大学図書館内に無い場合によく取り寄せてもらいました
- 書庫・・・論文のコピーはここ!
- 雑誌検索(CD-ROM)・・・論文の検索
- Proquest、雑索・・・海外文献、論文の検索。Proquestはオンラインで論文のPDFファイルを入手できるものもあります。
- Webcat・・・大学図書館を網羅的に検索可能
- 山手線コンソーシアム・・・明治に無い場合は、加盟大学の図書館を利用しましょう

※自宅でADSL接続している方は、大学とのVPN(Virtual Private Network)接続をすると非常に便利です。
設定方法は図書館のホームページ内に掲載されています(URLは忘れてしまいました。申し訳ございません)。

大学のネットワークからだけアクセスが可能な、図書の延長手続き、取り寄せの手続きがオンラインでできる上、
Proquestや雑誌検索も24時間自宅から可能となります。
特に社会人の方には時間を有効活用するためにもお勧めです。

3. 論文作成ルールの徹底

論文作成のルールについては、大石先生のHPにある執筆要綱を熟読するに限ります。
このルールは要するに「読み手が理解し易い」論文にするためのものであり、論文作成の大前提です。
最初はいろいろ気をつけなければならない点が多いですが、1度しっかり身につけてしまえば後は苦になりません。

また、誤字脱字も事前にしっかりチェックしておかなければなりません。
私は当初大石先生にご迷惑をかけていたと思います。
しかし、その後先生から学生の書いた論文へのコメントを求められる機会などをいただき、
いかにこの大前提が重要かわかりました。
つまり、ルールに則って書かれていない論文は単純に読みにくいため、
読み手はその内容うんぬんに神経を集中することができないのです。

せっかく自分の考えを論文にまとめたのですから、
適切な指導を受けるためにもルールに則って読みやすいものにすべきです。

4. 提出する勇気

最初のうちは何をどうしたら良いのかわからないと思いますが、
わからないなりに、もがき苦しみながら書くことが大切だと思います。
そして勇気をもって大石先生に提出してください。
その結果・・・・・、残念ながら自分の可愛い論文は「必ず」粉々にされて返ってくることでしょう。

しかし、それは実力をつけるために必要なプロセスであり、
大石先生は愛をもって粉々にされているはず(?)です。
粉々にされない人を探す方が難しい・・・。
ということで、めげる必要はありません。
このプロセスを何度か繰り返すことによって、講義やケースだけでは得られないものが必ず実感できるようになります。

5. ビジネスへの応用

論文を書く作業というのはビジネスにも必ず役に立ちます。
知識の蓄積もさることながら、調査方法、周辺環境・歴史的背景・海外動向の把握、論理の一貫性、
論理展開など論文執筆で行う作業は、問題解決アプローチそのものです。
ビジネスの場では、短時間で判断しなければならないことが多いですが、
論文のときと違うのは判断までに割ける時間の長さだけであり、その本質的な効果は変わりないものだと思います。

以上、私が現時点で特に重要だと思うポイントを書き連ねました。
しかし、かなり自分のことを棚に上げておりますし、まだ私の「思い込み」や「推測」も多々あると思います。
今書いていても身につまされる思いです。

2年間の大学院生活は非常に短いものです。
大石先生の論文指導を通じて私が身に付けたものは、まだ完全に自分のものとはなっておらず、発展途上の段階にあります。
そのため、私は修了後もこの論理的思考をさまざまな場面で実践し、もっともっと経験を蓄積しなければならないと考えております。
結局、何につけても少しずつレベルアップしていくしかありませんね。みなさん同様、私も頑張ります。

以上。

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