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文化商品の現地適応化

  • 執筆者の写真: 熙明 李
    熙明 李
  • 2021年12月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年12月30日

文化商品の現地適応化

企業の扱う商品によって,海外市場における販売の難しさは変化する。 特に「食品」をはじめとした文化色の強い商品は, 異なる文化圏で販売しようとした時,大きな壁に悩まされることが多い。

高いブランド価値を獲得し,困難を乗り越え,上手くいっている様に見えるマクドナルドも 市場によって大きな困難に悩まされている。 同社は米国発の企業であり,販売する「ハンバーガー」や,共に提供される「コカコーラ」は米国の象徴とみなされる事も多い。


今回は中国における同社の困難をとりあげてみたい。

マクドナルドは中国へ1990年に進出し, いくつかの現地化を経て,次第に中国市場へ浸透してきた。 しかし現在マクドナルドは中国市場において, 同じ米国出身のケンタッキーに大きく水をあけられているのが現状である。 この2社の大きな違いのひとつとして,商品の標準化-適応化度合いを挙げることができる。

マクドナルドが基本的に世界標準化を軸とした戦略を採用している一方で, ケンタッキーは中国市場において大幅な商品の現地適応化に着手している。 たとえば,ケンタッキーの商品には,中国人にとって親しみのある「お粥」や「焼餅」をはじめとした, 中国独自の商品を取りそろえており,店内も家族で食事しやすいような工夫を施してある。

そのためもあってか,中国人留学生達に聞いてみると, 彼らにとってはマクドナルドよりもケンタッキーの方に親しみを持ち,良く利用するという。



出所:マクドナルド中国とヤム・ブランズのHPを基に,毛(2011年度入学)作成。

ここで売上高をみると,世界での総売上高ではマクドナルドが上回っている。 しかし中国市場だけで見たとき,ケンタッキーを擁するヤム・ブラウンは マクドナルドの何十倍もの売り上げを獲得している。 この差を「商品の現地適応化の賜物」とみるのはかなり早計ではあるが, その一因を担っていることは確かであると推察できる。

米国と中国。その差は「地理的」な要因はもちろんのこと, 「文化的」にも「政治的」にも大きな差がある。 文化色の強い商品は,このような国家間の大きな差異に特に敏感であることを常に留意しなければならない。

企業が国際市場で展開する場合,世界的な規模の経済を得るのか, それとも各市場に特化した戦略を採るのか,このジレンマは尽きない。 グローバル企業は,このバランスの最適点を常に模索している。

大石研究室 古川裕康

―参考文献―

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