国際的消費者行動モデル
- 熙明 李
- 2021年12月27日
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国際的消費者行動モデル
『国際的消費者行動論』 第五章「国際的消費者行動に関するモデル」概論
International Consumer Behavior: Its Impact on Marketing Strategy Development Quorum Books, 1995.
マーケティングの存在理由は消費者問題を解決し,消費者ニーズを満たすことにある。 これまで国際的消費者行動を理解しようとする試みが数多くなされてきた。 これらすべての試みの中で,ある一点が特に重要視されてきた。それは文化の重要性である。 文化の消費者行動への影響について,ウォレス(1964)が価値のある考察を提供している。
彼は「人格が文化の代わりになりうる」という理論を発表している。 つまり,個人(消費者)の行動は人格によって条件づけられ, 人格は文化によって形成されるものだということだ。
なお,ここでいう文化は,最広義で捉えられるものである。 それらは「社会の一員として個人が獲得した知識,信念, 芸術,道徳,法律,習慣,および他の能力や習慣を含む複合体」であり, 文化ときわめて密接に関わるところの地球物理学的,政治的,ビジネス的, 経済的な要素を包含するものである。
Samli(1991)は彼の理論を用いて基本的な国際的消費者行動モデルを構築した。 それは以下のとおりである。

<消費者の個人的要因> 本モデルにおける消費者の個人的要因には, 認知,記憶,経験,人格,所得対応,ライフスタイル,期待,そして教育が含まれる。
<意思決定ネットワーク> 意思決定ネットワークとは,消費者要素間での相互作用による内省的結果であり, 消費者の個人的要素と,実際の購買行動との間を取り持つ要素である。
<消費者の購買・購買後行動> 購買行動とは,購買を行う際の外部的,機械的なプロセスのことである。 また,消費者の購買後行動の差異を理解することが,将来の購買を予測したり, 消費者ニーズを理解したりする場合に重要である。
<新しい価値観や行動の出現> 新しい価値観や行動の出現は,消費者行動レベルで変化し, 結果的に社会の文化に組み込まれるような構成要素である。
<刺激> 消費者に注目させるきっかけとなる刺激は,広告,販売促進, そして販売員活動に関するいかなる側面も,消費者に対し異なったやり方で影響を与える。
なお当モデルの操作化は 社会階層,言語,コンテキスト,人間関係,欲求階層,男女の役割, 子どもの役割,地域特性,時間の観念,学習,労働観,プライバシーの必要性, 資源の濫用,資源の利用,意思決定における家族の役割, 家族の規模,信仰心,伝統に対する態度,技術の習熟 といった19の尺度によって行われる。
※操作化のための尺度の具体的な計測法については本書を参照。
大石研究室 古川裕康 作成
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